北の空に「北斗七星」が見えていれば、その柄杓のカーブをそのままずっと延長してゆくと、黄金色に輝く「うしかい座」のアークトゥルスがあります。この星は、その色と全天で三番めという明るさから、日本では昔から「麦星」と呼ばれていました。この北斗七星からのカーブをさらに延長すると、「おとめ座」のスピカに行き着きます。この星は古くから「真珠星」と呼ばれているだけあって、青白く鋭い光を放っています。
こうした春の代表的な星座が西に傾く夜半過ぎ頃、今度は南の地平線近くに、真っ赤な色をした一等星、アンタレスが上ってきます。ご紹介した三つの一等星の、ドラマチックな色の違いにも注目。
ちなみに、アンタレスとはギリシャ語で「火星に対抗するもの」という意味で、火星がこの付近を通過する際には、お互いにその赤さを競うことから命名されたものです。
さそり座
さそり座の赤い巨星アンタレスのすぐ西側には、代表的な球状星団の一つである M4 があります。空の状態がよければ肉眼でもぼんやりその姿を認めることが可能。さらに大きめの双眼鏡があれば、下の写真のようにアンタレスと同じ視野に入ります。
なお、今回は M4 だけをご紹介しましたが、サソリの尾に当たる部分は天の川の中にあり、このあたりには大きな散開星団や美しい星雲もたくさんあります。双眼鏡で天の川散策をするには、最高のスポットの一つです。
この写真は両方とも、リンクページでもご紹介している Stellar Scenes の栗田直幸さんが撮影されたものです。
アンタレスと球状星団 M4