秋の夜空を眺めたときに、まず目につくのはペガサス座の四辺形でしょう。これは天馬ペガサスが逆さまになっている姿の、ちょうど胴体の部分です。しかしこの四辺形の一つの頂点となっている星は、アルフェラッツと呼ばれ、アンドロメダ座に属しています。まあ「お隣さんから借りている」わけですが、ギリシャ神話の中でも二つの星座は深い関わり合いを持っています。
ペルセウスがメドゥーサの首を切り落とした話は皆さんもご存じでしょう。ゴルゴンという恐ろしく醜い三人姉妹の怪物がいて、メドゥーサはそのうちの一人です。あまり醜いので見た人は一瞬にして石になってしまうというのですから並みの醜さではありません。いわゆる「想像を絶する」というやつです。ところがそんなに恐ろしげなメドゥーサの首を切り落としたところ、流れる血の中から真っ白な天馬、つまり背中に羽根の生えた馬が現れた。どうして? と聞かれても、神話だから私にも分かりまへん。メドゥーサも罰として醜い怪物にされる前はとても美しい女性だったというから、たぶんその「美の要素」みたいなものが昇華したのかも。
ペルセウスは怪物退治の目的を果たし、この天馬ペガサスに乗ってさっそうと帰宅する途中、エチオピアの海岸で見かけたのが今回の主人公のアンドロメダ姫でした。なんと可愛そうに怪物への生け贄として岩につながれていました。それでアルファ星もアルフェラッツ(「つながれた人の頭」の意)なんていう名前になっているというわけです。もちろんペルセウスはその怪物を退治して、めでたくアンドロメダ姫と結婚しました。
アンドロメダ座
下は、アンドロメダ座にある有名な大星雲です。空が暗いところなら、肉眼でも見えるほど大きな星雲で、私たちの銀河系(つまり天の川)から最も近いところにあるもう一つの銀河系です。距離は約 175 万光年といわれています。
観測により、このアンドロメダ星雲は高速で私たちの銀河系に接近中であることが分かっています。30億年後には、二つの銀河系は衝突するらしい。新しい星がいっぱい生まれて、夜空は今の何倍も明るくにぎやかになるそうです。長生きして、見てみたいものです。
この写真は両方とも、リンクページでもご紹介している Stellar Scenes の栗田直幸さんが撮影されたものです。
M31 アンドロメダ大星雲