ご職業は?
編集作業は最近はやっていないので、ライターというのが最も正確ですね。クルマ雑誌をメインに、雑誌用の原稿を主に書いています。近頃は媒体として、インターネットも加わってきました。
自動車業界では「自動車評論家」のひとりとして分類されてるみたいですが(笑)、そんなエラそうなことは書けない私です。
簡単な自己紹介をお願いします。
クルマ雑誌の編集者からこの文章書きの世界へ入りました。最新の単行本は、99年に出た「プリウスという夢」(双葉社刊)です。クルマ開発のドキュメント・ストーリーですが、新型車の試乗記などを書くよりは、最近はこういうものに興味を持っています。
といってもエンジニアリングについては皆目オンチの、ばりばりの文系(笑)。あ、もちろんオンチなのはコンピュータもいっしょですけど(笑)。
使用マシンは?
デスクトップ機は、97年頃に買った、Windows95しか入っていないショップブランドもので、32メガ、単なるペンティアムの200、ハードディスク2.8ギガといったスペックです。文を書くには、一応十分。
キーボードだけは、大きなショップでいろいろ触って、compaqのブランドが付いた、ちょっとハードタッチ(?)のものに変更しています。

最近、ようやくサブあるいは携帯用としてノートを導入しました。B5サイズのThinkPad 240 ですが、なぜかいまどき95モデルをわざわざ買ってみたりして……(笑)。
yook: QX使用歴はどれくらいですか?
4.xの頃に一度試用して挫折し(笑)、たくきさんのご本を読んでもう一度入れてみて、それから本格的に使いはじめました。本の付録になっていたのは、4.3あたりだったと思います。

ワープロと違ってコンピュータというのは、自分で使いやすいように変えるものなんだという、たくきさんが「鉛筆代わり……」で展開しておられた基本スタンスというのは、大変参考になりました。
というより、あの本がなかったら、いま、コンピュータで字を書いていなかったかもしれないです(笑)。
yook: QXを使い始めたきっかけや、それまでどんなソフトで書いていたかを教えてください。

きっかけということなら、ひとつはやはり「縦書き」でした。ワープロ・オアシスの時期が少しあったんですが、あれは簡単に縦書きで印刷でき、書いた文章が(縦で読むと)どうなっているかを確認できましたので。

QX以前のことを言うと、まずWindowsにくっついてきたWORDと格闘しました(笑)。
でもまるで使いにくいので困惑していたとき、コンピュータの先輩&友人が「ただ字を書くのなら、ワープロは要らない」
という、いまにして思えば限りなくありがたいサジェッションをしてくれ、まず秀丸から、「エディタを使うこと」をはじめました。

そのうち、秀丸にマクロを組み合わせたりして機能を拡張しはじめました。またインストールが自分でできるようになってからは、もう、ほとんどのエディタを試しましたね(笑)。
そのときに縦書きにこだわって、MMの登録ユーザーにもなってしまいました。現在ではまったく使っていませんが。ちょうどQXに挫折していた時期ですね(笑)。

エディタをいろいろ試したなかでは、Danaはいいなと思いました。
縦書き機能がなくてもいいなら、これをメインにしていたかもしれません。
秀丸をすでに持っていたので、これはレジストしませんでしたが。
yook: 主としてどんな作業にQXをお使いですか?
まず何といっても、文を書くことです。
雑誌原稿の場合、あとでも触れますが、頻繁に字詰め(コンピュータ用語では行桁なんでしょうが)が変わりますので、この変更が(マクロを使って)容易にできるQXは、何といってもありがたいです。

また、ドキュメントものなどの場合は、本になった場合にどんな感じかということで、書いたあとで縦組みで見てみたいんですが、QXの場合、これが簡単かつ高速にできます。
入力自体を縦書きでやることは、実はほとんどありませんけど。

あとは、ねこみみさんのスケジュール管理マクロをQX上で動かして使っていますね。
また、インターネットからDLした文書データ(html)を、テキストに変換してファイリングする。このときも、QXとねこみみさんマクロにお世話になっています。
「主な……」ということでは、こんなところでしょうか。

あ、yookさんのグロッサリー・マクロ(注*)も大変重宝して使わせていただいています。クルマ用語など、最近いろいろと新語が出現していて、このいつでも引けて追加自由の辞典みたいなマクロは、とても便利ですね。まあCSVというファイル形式は、私の場合、イマイチ把握していない部分がありますが(笑)、ねこみみさんのCSVファイル編集マクロも、私にわかる範囲で活用しています。
注* 島田さんのHPからダウンロード可能です。
yook: QXの一番気に入っているところは?
安定していること、バグらしきものの気配もカケラもないこと、
そして、画面がとても落ち着いていて長時間見ていてもストレスがないことです。

この画面の件は、当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、いろんなエディタを試した私としては、画面だけでもいろんなレベルのエディタがある(笑)ということを知っていまして……。

以上は、基本機能ですが、あとこれに加えて、こうなったらいいなということが、基本機能とマクロでほぼ何でも叶うということですね。
もちろん私はマクロは書けないですが、QX周辺にいらっしゃるマクロ作者の方々のパワーというのはすごいですから。
上記のように、簡単なキーアクションで字詰めが変わらないかなあ……といった場合でも、このときはねこみみさんでしたが、お願いしてそれが実現しましたし。

それと作者のarakenさんが、何というか、とても「フェア」だと思うんですね。
MLもチェックしておられて、作者としてもそれは気がつかなかった
といった点はすぐに改善されますし、また、いま次期バージョンのためにこんなことをやっているということも、いつも明らかにされています。

また、何といっても「これがいまのところの“虫”です」なんて、
ごていねいにWebページで公開されてます(笑)。
これは安心ですよ。だって、いいかえれば、これ以外には虫はいないということでしょ。
yook: ワープロでなく、テキストエディタで執筆することのメリットは何ですか?
エディタは「速くてシンプルである」、これに尽きます。
WORDしか知らなかった頃に、入れてみた秀丸が一瞬で立ち上がって編集画面になったときには、どこか壊れたのかと思った(笑)。

また単にソフトのスタート時だけでなく、キーボードに入力したときの反応が遅いですよね、一般にワープロ系は。
この点でも、エディタの速さを知ってしまったら、もう鈍いワープロは耐えられません。

仮にマクロについて知らず、マクロを一切使えなかったとしても、私は「字を書く」ことに関しては、エディタを使うと思います。
たとえば、16字×160行というフィックスされた分量の原稿を書くとしても、だいたいの字数を計算してまずエディタで書き、必要ならできあがったものをワープロで読み込んで、果たして16字詰めにしてその行数になっているかといったことを確認するでしょう。

用途として、「字並べソフト」で十分なのか、それとも「文字装飾ソフト」が必要なのか。
もし前者であるのなら、エディタというジャンルの方がはるかにいいから、使ってみたら?
友人知人には、エディタというものについて、このように説明しています。

それと、「.txt」ファイルの汎用性ですね。
検索でも、ファイルは汎用性の高いものにしておいた方が何かと便利。そして、そのテキストを作るのに最も適したソフトがエディタである。だから私はエディタを使う。
こんな風にもいっています。
yook: 「QXエディタは、高機能すぎて設定が難しい」という声をよく耳にしますが、初心者がこのハードルを越えるための秘訣は何だとお考えですか?
私も十分初心者なんですが……(笑)。
でも、逆説めきますが、まずはメモ帳を、メインの書くツールとして使ってみること。これがいいのではないでしょうか。

仮にこれをやってみますと、メモ帳の場合、何で前回の設定を保存しないんだとか、行間を変更しないと読みにくいなとか、画面の色は変えられないのかとか、こういった要請がごく自然に出てくると思います。

でも、メモ帳の場合、こういったことをやろうとしてもできませんよね。一方で、ワープロの場合は、何でもできそうですが、実は設定はけっこう面倒であり、また動きも重く、メモ帳のようにスピーディではありません。

このメモ帳のスピーディさはそのままに、もうちょっと機能を拡大したソフトはないものか。
これがまさに「エディタ」であるわけですが、じゃたとえば有名な秀丸エディタではそういうことはできるのか?……と突き進んでみる。

こうしてエディタに入っていくと、ユーザーとしてどういう設定がほしいか、どういうことができると嬉しいかというのが見えてくると思うんです。

で、こういうスタンスになってしまえば、多機能でいろんなことが設定できるエディタ、たとえばQXというのは、要するに親切なのであって、決して迷惑なものなんかではない(笑)。こういうことになるのではないか。

ただ現状のQXでいえば、またわが挫折体験からいえば(笑)、
QXをはじめて導入してみた方が戸惑うと思われる点がいくつか思い出せるので、ちょっと指摘してみます。

・導入時に、アイコンを選択できること。
これは親切ではあるが、他のソフトでは(私の知る限り)こういうことができるという例が少ないので、どうしていいかわからなくなる可能性がある。

・書式の設定で、たとえば72桁に変更してOKを出しても、それを「設定の保存」で何番かに保存しない限り、次回開いたときに有効にならない。
これも、親切設計なんですが、使いはじめの人は対応に困ることがありそうです。
yook: 「シンプルな設定にしたQXエディタ」と、「元々機能が少ないエディタ」の違いは何でしょうか?
これは読んで字の如くだと思います。
機能が少ないエディタは、何かをしようとしてもできないことがありますが、シンプルにしたQXというのは、ユーザーがそれぞれのニーズに合わせてカスタマイズしたものですから、機能の拡大はいつでも可能です。

ピッチャーもできる選手がライトを守っているチームと、あまり守備能力がないAさんには一応ライトを守ってもらっているというチーム。
草野球にたとえればこのくらい違うと思いますが、でもこれ、あんまりわかりやすい例じゃないかな……(笑)

ともかく「カスタマイズ」というのは、「複雑化」ということではないわけですよね。
私自身も、いろんな方に教えていただきながら、自分でよく使う機能に絞ったカスタムQXとして Qx_lite NB というのを作ってみまして、実際に使用しています。詳しくは、トップページからリンクしている「文系用 iemura's スペシャルQX」を読んでください。( 今すぐ行ってみる

ただ、ごく初心者の方にこの「Qx_lite NB」を使ってもらおうとしても、キー定義ファイルを置き換えるというか、別のキー定義ファイルを読み込ませて新たなQXを使う、といったことは、わが友人たちを想定してみても、概念としてやはりむずかしいと思います。

コンピュータというのは、ある程度までわかると一気にいろんなことが可能になって、またやさしくもなるのですが、その「ある程度」以前の段階ですと、ナゾがナゾを呼ぶ(笑)わけわかんないキカイにとどまる。
コンピュータとその世界って、こういう困った構造がありますよね……。


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