薄井 信治さんのプロフィール

職業:
国語教師。
専門は中国古典詩文の研究なのだけれども、学生は作文の先生だと思っているのでは。アウトラインをトピック・センテンスで書かせて添削するという変わったことを1 0 年以上続けています。
自己紹介:
 昭和 31 年生まれ。QXファンにはこの年代が多いような気がしますね。
 趣味はないなあ。本を読むのも映画を観るのも趣味だと思ったことがない。 10 年以上続けているハンドボールの監督が趣味かも知れない。
使用マシン:
デスクトップ:Fujitsu FMV SE
ノート:NEC LaVieNX LV16CとNEC 9821nd2
主な使用ソフト:
 テキストエディタ:QX、 Dino (メーラー兼用)、窓の奈美、など。
 クリップボードツール: QTclip
 文字列検索ソフト:QGREP
 テキストビュワー:SmartView、MMV、QTview。
 ログ・ビュワー:SHOWPC
 印刷ソフト:WinLPrt
 ワープロソフト:Word、一太郎。
 表計算ソフト:Excel。
 CSVエディタ:Tcard。
 アウトラインソフト:ideatree、構造化エディタ。
 ファイラー:あふ、Pyxis、卓駆☆。
 スケジューラー:SelfManager、WCal98。
 バックアップツール:Zcopy
 WWWブラウザ:NetCapter、Lynx。
 WWWオートパイロット:WWWC。
 通信ソフト:秀Term Evolution。


yook:  インタビューを始める前に、一言。私も薄井さんと同じ、昭和三十一年生まれです。QXユーザーの中では、一番おっちゃんの部類だと思っているんですが、40 代の人も結構いるので心強いですね。もっとご年輩のユーザーもおられますが、共通していることは、皆さん(よい意味で)少年少女のような人たちだということです。
えー、しかし今回は、国語の先生にインタビューという初めての経験で、多少緊張しています。よろしくお願いします。

では質問開始です。QX使用歴はどれくらいですか?
1996.11.24試用開始。もう3年くらいですね。

yook:  主としてどんな作業にQXを使用しておられますか?
 テキスト文書の作成全般です。最近は簑系ファイルでメモをとるのに使うことが多い気がします。

yook:  突然知らない言葉が飛び出しました。この「簑系ファイル」というのは、どんなものですか?
ついでに、QXを使って、その簑系ファイルとやらでメモを取るときに駆使する、機能とかマクロとかあったら、ご紹介ください。
 簑系ファイルに関しては http://www02.u-page.so-net.ne.jp/fa2/syo/を参照してください。
  syo さんの「テキスト主義」には賛同されるのではないでしょうか。
 メモ用マクロはニフティの会議室で Uzi さんがお願いして itam さんが作ってあげたものを改造しています。ワン・キーで

@
1999/12/03(17:23:00)[題]:
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 という具合にカードを作ってしまうものです。そして、こんな具合に記入します。

@
1999/02/27(07:23:50)[題]:十世紀以降の「漢人」とは
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 こうした例から考えると、十世紀からあとの中国でいう「漢人」とは、南北朝や隋・唐の時代の漢人とはちがい、唐末・五代の戦乱で、それまでの社会の秩序が崩れて、人々がめちゃめちゃに混じり合って、ほんとうの身元がわからなくなった人々を、まとめて呼ぶようになったものらしい。【出典】『皇帝たちの中国』原書房(1998年)111p
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 ユーザ定義文字列一覧で[題]を指定しておくと、題名だけの一覧ができます。私はMLでハチコウさんと itam さんに作ってもらったマクロを利用して、書式別にユーザ定義文字列一覧を利用しています。

 論文の抜き書きとコメントを CSV ファイルでまとめていたのですが、後からコピーしたり別のファイルに加工する時に面倒になったために、こちらに切り替えました。
この間から、20年前にB6カードに書いたものをこの形式で電子ファイル化しています。

yook:  なるほど、後から加工することを考えると、CSV 形式より便利かも知れませんね。私も研究してみます。では次の質問です。QXを使い始めたきっかけや、それまでどんなソフトで書いていたかを教えてください。
 エディタの会議室で鐸木能光さんが絶賛していたのを読んで、試用し始めたと記憶しています。サイビズの連載やえんぴつ本に啓蒙されました。1年近く試用しっぱなしでレジストしなかったのは、 Windows3.1 が中心だったためです。
Win3.1 でのQXは秀丸には及ばなかったと思います。逆に Win95 ではQXが圧勝ですね。

 まず、ワープロ専用機を使用していました。ハードディスクがなく、テープレコーダーで保存していたパソコンはとても文章を書くというものではありませんでした。ワープロ専用機を二台並べて編集したこともあります。

 パソコンをいじったこともない頃に一太郎でシラバスの作成をやらされたのが、ワープロソフトとの出会いですね。12人分のシラバスを打ち込むのにすっかり疲れて嫌気がさし、当分の間一太郎に拒絶反応を起こしていました。

 それで、最初に使い始めた Windows3.1 では Word を中心にしていたのです。しかし、そのパソコンでは Word も一太郎も起動するのに1分もかかったので、いい加減うんざりしていました。カット&ペーストと言うけれど、カットしてからスクロールして目的の場所まで行くのに一休みするような感じでとても編集に使えるような気がしませんでした。

 そんな時にエディタというものがあることを知り、いろいろ試用してみて秀丸を使うようになりました。 Win3.1 の秀丸(+マクロ)はとても快適でした。秀丸でエディタというものの良さを理解し、マクロの導入やアレンジということを覚えたのでした。

yook:  皆さんいろいろと苦労されているんですね。個人的な意見を言わせていただくと、ワープロソフトをイヤにならずにずっと使える人というのは、精神的にタフで我慢強いタイプだと思います。私は飽きっぽいし堪え性がないので、だめですね。

ところで薄井さんのご経験からも言えることですが、QXの普及に関しては、鐸木さんの「鉛筆代わりのパソコン術」やサイビズの連載が果たした役割が、本当に大きいようですね。QXも、あれからかなりバージョンアップされているので、続編がほしいところです。

では、薄井さんがQXを使われる上で、特に気に入っているところを、三つだけ挙げてください。
カスタマイズがかなり自由にできること。
ユーザ定義文字列一覧。
マクロということを忘れてしまうほどの速さ。

メニューもカスタマイズしているので、ステータスバーの表示に「マクロ」とあるのを見て驚くことがあります。

yook:  このユーザー定義文字列一覧をどのように活用しておられるのか、具体的にご紹介いただけますか?
 「見出し文字列」は行頭になければ検索できませんが、「ユーザ定義文字列」は文中であっても検索できます。マクロを使わずに利用するには、検索したい文字列をコピーしておいて、「ユーザ定義文字列一覧入力」を開きます。メニューからでも、ツールバーに登録してもキー割当してもかまいません。
一度も使ってなければ、「ユーザ文字列一覧入力」のコンボボックスは空白になっているので、そこにさきほどコピーした文字列を貼り付け、OKを押します。すると、その文字列のある行頭部分が表示されます。

 複数のファイルを検索する時は QGREP 、一つのファイル(カレント・ファイル)だけの時はユーザ定義文字列一覧を使っています。「ユーザ定義文字列一覧」を開いている時に常駐リストを「その他の一覧」にしておくと、 Enter を押すか、ダブルクリックすると、一覧を表示します。便利ですよ。

yook:  確かに便利そうですね。私は、先日松枝さんにインタビューするまで、これを使ったことがなかったんですよ。
さて、薄井さんが愛用されているマクロの中で、「これなら初心者でも使える」とか、「これは絶対お勧め」というのがあったらご紹介ください。
 私はいつ初心者でなくなったのかな。おそらく、QXの急激な進化につきあったからでしょう。あの時のような興奮はもう二度とないような気がします。そうでしょ、 yook さん。

yook:  二年前のことですか? うーん、あの頃は本当に毎日が興奮の連続でした。でも、あれほど急激ではありませんが、QXは着実に進化してますよね。それでマクロの話ですが・・・。
すみません。脱線しました。さてマクロですが、マクロを使おうと思い、マクロの導入に成功した人にとって、使えないマクロはないと思います。

お勧めはまず、しまげんさんのホームページ (今すぐ行ってみる) を訪問して、QXを楽しもう!コーナーから「QXユーザーズ・マクロ・ヘルプ」をダウンロードすることです。そして、MLやニフティの会議室で質問することです。過去ログには便利なマクロがたくさんあります。どこかのMLでは、初心者が質問するたびに、「ヘルプを読め」と言う答えが返ってきていましたが、QXのMLではそういうことはいままでありませんでした。

yook:  言えます。私も他のMLでは、何回かイヤな思いをした経験があります。自分も今まで、ずいぶん間抜けな質問を連発してきましたが、会議室やMLで、けなされた経験はありませんね。ありがたいことです。

さて我々がそれほど惚れ込んでいるQXですが、同僚の先生方とか学生さんたちにQXを勧めることはありますか? ありましたら、その成功例などもご紹介ください。QXに限らず、エディタ一般でも結構ですが。
 エディタを勧めても受け付けない人たちがたくさんいました。プリンタのついたパソコンは印刷機だと考えている人たちです。この人たちに、ワープロの1行とエディタの1行の違いを説明するのは空しくなります。メールはテキストファイルなのだ、と言っても理解してくれないのは残念というのを通り越しています。大きな文書を編集する必要がある人だけがエディタの利点に気づいてくれました。同僚の国語担当者は、大学院時代からの延長で秀丸を使っています。印刷は別だと考えているからですね。
 QXを勧めるにはやはり、ある程度カスタマイズしてあげる方が親切だと思います。たとえば、ねこみみさんのマクロを中心にした HTML エディタ化したQXは結構喜ばれるのではないでしょうか。

 学生たちは、ワープロ・ソフトから UNIX の mule に一足飛びですから、その他のエディタに手を出す余裕はないみたいです。

yook:  薄井さんは、WinLPrt も愛用されているそうですが、QXの印刷機能ではどの点が不足なのでしょうか? 参考までに教えてください。
 エディタが秀丸主体だった時、 WinLPrt は切っても切れないような関係にありました。QXになってもその便利さは変わりません。さんざん苦労して作った書式設定を引き続き使っています。
あまり複雑な使い方はしていないので、どこが WinLPrt の利点か、と言われると答えにくいのですが、印刷プレビューが使いやすいところが気に入っています。マウスのクリックで拡大縮小ができるのは便利です。拡大したいところをクリックするとその部分が拡大されるのは慣れてしまうと Word などの印刷プレビューがまどろっこしく感じます。

 QXの印刷機能について質問されたので、考えてみたところ、テキスト文書は最近あまり印刷をしていないことに気づきました。それは、印刷せずにメールでやり取りできるようになったからです。この文章もQXで書いて、メーラーに貼り付けています。以前であれば、印刷して郵送していたところですが、郵送しないということは印刷もしないということなんですね。

yook:  なるほど、時代の変化でしょうか。私も印刷の機会は少ないのですが、それだけにかえって、できるならワープロよりエディタで済ませたいと思うようになっています。

それでは、教育現場でQXを使うメリットみたいなものがありましたら、二、三あげていただけますか? 漠然とした質問で、すみません。
 質問の答えになるかどうか分かりませんが。
 授業用のノートをQXで作って印刷していたことがありました。実際に授業で使ってみると、手書きの方がポイントをつかみやすいことに分かり、現在はそのような使い方はしていません。

 教科書の本文を教科書会社が一太郎文書にしているので、テキスト文書に保存しなおしてからQXでテスト問題を作ったりしています。
 学生たちのキーボード入力がもっと速くなれば、電子計算機室( WindowsNT が50台×2)で作文の演習をしようと、10年前から考えていますが、なかなかそうはなりません。
チャットをやっている学生はかなり速いのですが、まだまだ一部に限られます。もしも、やるようになれば当然テキスト・エディタを使うわけですから、QXを入れさせてもらうように頼むつもりです。

その頃にはQXにもアウトライン機能が標準装備されていることでしょう。

yook:  そうですね。学生さんが論文などで使うとしたら、アウトライン機能は必要だと思います。専用のアプリを使っても良いのですが、せっかくの常駐リストですから、何とかなると良いですね。まあ、マクロという手もありますが。
 今までアウトライン機能については全く発言していなかったので、不思議に思われたでしょう?

MLで周期的に話題になるアウトライン機能ですが、私には、皆さん常駐リストにこだわりすぎているように思われます。常駐リストはたいへん便利かつ奥深いものです。いろいろ利用方法が考え出され、マクロが作られていますが、まだまだ誰も気付いていないすごい使い方が生まれて来るかも知れません。

 しかし、常駐リストにこだわっている限り、画面はいつものQXになってしまいます。常駐リストで選択すると、見出しのある行が画面のトップになりますが、関係ない部分まで見えるのでは集中しづらく、文章を書きながら使うというのには向いていません。アウトライン機能を搭載している他のエディタもみなそういう仕様になっています。

 そこで私は構造化エディタというテキスト・ファイルそのものを扱うアウトライン・エディタとQXを行き来しながら、構成を練るということをしています。構造化エディタではパラグラフの途中の文もツリーに指定できます。

 しかし、これは別のアプリであり、QXとの連関が完全ではありません。ねこみみさんの CSV ファイル編集マクロのような感じでアウトラインがツリー状に表示できれば、私はすぐにそれに乗り換えますし、他のエディタの利用者もびっくりするのではないでしょうか。

yook:  なるほど。その「構造化エディタ」というのは、私も以前から興味がありました。先ほど、初めてダウンロードしてみましたが、使えそうですね!!

「構造化エディタ」のダウンロードサイト

「空白行や行末にあるスペース文字やタブ文字を使ってテキストファイルを構造化」というのは、シンプルで分かりやすいです。ちょっとびっくりしました。

なるほど、これをQXのマクロでやったら使いやすいかも知れません。検討してみる価値がありそうですね。私も「常駐リストここだわっている」一人ですが、それは、マクロのダイアログではQXの編集画面との間を行ったり来たりできないからなんですね。

いや待てよ。タスクトレイにあらかじめ別のQXを常駐しておいて、アウトラインマクロのダイアログでは、そっちのQXを使うという手もありそうですね。これだと、全く別アプリとして使えるし、カスタマイズも自由自在・・・。どうでしょうか?

まあ、アウトラインについては、そのうちMLで議論しましょう。それ以外には、どのような機能や仕様を実現してほしいとお考えですか?
 以前、MLでも話題に出しましたが、二画面ファイラーのような開くダイアログが希望です。ねこみみさんの「飛んで開く」マクロでもファイルのコピー、削除、移動、名前の変更が出来、ファイラーの機能は備えていますが、二画面だと本当に便利です。左右の画面でファイルの並び順を変えることができれば、別のアプリのファイラーを開く必要もなくなります。 drag & drop が出来れば、更に利用者が増えるのではないでしょうか。

yook:  な、なるほど。今日は「なるほど」の連発で・・・(^^;;
では最後の質問です。特に教育現場で便利だと思われるもの、薄井さんが個人的に欲しい機能など、ご紹介ください。
 これは課題にしてください。思いついたらMLに出していきたいと思います。

yook:  どうもありがとうございました。

yook の勝手なコメント:  今回もまた、私にとってとても有益なインタビューになりました。特に、簑系ファイルについて知ったこと、CSV ファイル形式について考えさせられたことは大きいです。

アウトラインについては、個人的にはそれほど切実ではないんですが、教育現場では非常に重要なファクターだと思います。私も今日から「構造化エディタ」のユーザーになりましたので、じっくり検討してみます。

最近は学生さんの中にもQXファンが増えているようなので、アウトライン機能については、またMLで議論したいものですね。


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