narc さんのプロフィール

職業:
某全国紙(新聞)の記者をしています。一応、専門は医療問題。
それ から文化財、考古学関係です(全く脈絡ないですが)。
自己紹介:
1999年11月現在、あと1年ちょっとで30歳です。
身長185センチで、元スキューバダイビング・ガイド。
・・・とだけ書けば、実物とかけ離れた想像をしてくれる人もいることでしょう(^^;
使用マシン:
仕事用メインマシン:IBM ThinkPad 535E(HDD4.8GBに換装)
自宅用サブ:フリージア・液晶デスクトップ
よく使うソフト:
使用頻度順に・・・
 QX
 秀TermEvo(原稿送信用)
 AirCraft
 Becky!
 Lotus Organizer2000
 その他、データベースや、写真伝送用の専用ソフトなど色々。
QX使用歴:
1997年の10月からです。
メールアドレス: 
okuno@bf.mbn.or.jp


yook: 主としてどんな作業にQXをお使いですか?
90%以上が仕事での原稿執筆です。新聞記事ですから、長いものでも1500文字前後で、作家の方のような長文は書きません。
あと、取材メモや報告書、企画書。ファクスによる手紙、AirCraftやBecky!の外部エディタとしてメールも書いています。

yook: 最初にQXを使い始めたきっかけや、それ以前に使っていたソフ> ト(ワープロ、エディタ)を教えてください。
雑誌「サイビス」のエディタ特集がきっかけです。その中の、鐸木さんがQXを紹介しておられる記事を読み、「鉛筆本」を買いました。
QXに出会う前は専用機のノート型OASYSでした。会社が8、9年前に一斉導入して、原稿送受信のすべてのシステムがOASYS文書を基本に作られていたので。

yook: QXを使っていて、「いいなぁ」と思う点を三つ挙げてください。
  1.  みなさんおっしゃっていますが、まず「安定性」です。私たちの仕事の場合、「あと10分で、30行の原稿送れ!!」という状態になることもそう珍しいことではありません。そんな時に固まってくれたりしたら、怒られるでは済まないですから。

  2.  そして「(高速で安定した)縦書きができること」。実際の新聞の組み方に近い形で原稿が書けるということは、字数、行数が厳密に決められた文章を書く時には書かせない要素です(少なくとも私にとっては)。それにコンピュータの画面は横長ですから、新聞の字詰め(12文字)では横書きで編集すると前後の見通しが悪い、ということもあります。

  3.  カスタマイズの自由度。QXには、仕事をするのに欠かせない信頼できる道具としての魅力と、それ自体を触って楽しむ趣味的な魅力が両方、高いレベルで維持されていると思います。どの分野でも逸品と呼ばれるものはそうですよね。万年筆のモンブラン、カメラのライカ、アーミーナイフのウェンガーとか。コンピュータのソフトとしては、本当にまれな存在だと思います。

yook: narc さんが、ワープロではなくテキストエディタで仕事をされる主な理由は何ですか?
実は会社はまだOASYSでも対応できる体制にはなっていますが、汎用性と安全性を考えるとテキストで作成、保存するのがベストですね。そして、チームで情報、ネタを交換しながら取材することも多い新聞記者には、汎用性と安定性が最も重要だと思います。

基本的に印刷とかレイアウトは関係ないですし。細かいバージョンが違うと開くことさえできないWordファイルなんて論外です。ただOASYS/Winは最新のバージョンでも10年前の専用機で作ったFDの文書を読んでくれますから、その点は評価できると思います。

ただ新聞業界でも、この辺のフォーマットはまちまちで一太郎(Liteではなく)原稿を書いている記者もいますし、通信機能を組み込んだ専用ソフトを使っている社もあります。

幸い、うちの社の場合は「好きなエディタ+通信ソフトでテキストファイルの原稿を作成せよ」と決められているので、エディタを使わないといけない(^^;。

といっても、本社からの「手取り足取りマニュアル」には秀丸のインストール方法が書いてありますが (^^;

yook: やはり、最初の導入が簡単ですからね。それで、職場でのQXの普及率は、ズバリどのくらいですか? 秀丸の三分の一ぐらいとか。
本当にずばり言うと、私以外に出会ったことがありません(TOT)

エディタの使用率自体、職場によってまちまちで、ある県の支局はほぼ100%なのに、別の支局では1人だけ、ということもあります。残る人は専用機のOASYSです。そういう人はコンピュータをまだ持っていなかったり、持っていてもWEBとメールだけに使っている人ですね。

新聞社というと、情報産業で末端の記者のレベルまでハイテク化(?)が進んでいる、と思っている人も多いのですが、それはかなり大きな誤解です(^^; 原稿用紙で書いている人はまずいませんが、古いデスクトップワープロを使っている人はたくさんいます。新聞製作(版を作ったり、印刷したり)は完全コンピュータ化されていますが、記者の個人の執筆環境はよく言えば個人の裁量に任されている、悪く言えば大半が非常に古くさい環境と言えますね。

少し余談になりますが、会社にあるデスクトップ・コンピュータには全てにOASYS/Winが入っています。さっき言ったように、原稿や取材メモは記者同士、頻繁に交換、共有するのですが、そのためにワープロ専用機のファイルとテキストファイルを変換することが必要なんですよ。今は(うちの社の場合)、専用機からエディタへの過渡期なんでしょうね。

話を戻して、エディタのシェアは9割以上が秀丸です。私が出会った中では、EmEditorが1人いました。

yook: う〜む、○○新聞にしてそんな現状ですか。
遅れてるっていう意味では、翻訳業界も一緒ですが・・・。
となると、デモンストレーションの意味でも、narc さんにはテキストエディタ一般、および我がQX普及のためにも、がんばっていただかないと。

それで、QXをより便利に使うためには、何か特別な工夫をしていますか?
大したことはしていません。新聞記事には11字、12字、13字、15字と字詰めの設定があるので、それぞれの書式を設定し、トグルで切り替えられるようなマクロを愛用しています。基本的に必要な機能、マクロはキーボードにアサインしてマウスなしで操作しています。

yook: なるほど、完全に新聞の原稿書きに特化したスペシャルQXですね。
それで伺いたいんですが、narc さんがそんなに便利なQXを使って、縦書きで、字詰めをワンタッチで切り替えながら、時には画面色を変えたり、パッとツールバーを出したり引っ込めたりして、なめらかに、かつ快適に、ニコニコしながら入力しているのを見て、隣のデスクに座っている同僚の皆さんは、

「わ、先輩のエディタすごいですね! カッコイイなぁ、僕にも教えてください。」
とか

「あら、narc さんのエディタ、とってもステキ!!
 へぇ〜、QXっていうの。ねぇ、ねぇ、私にも教えて!!」


とか、言わないんですか?
前の質問にも関係しますが、ないんですよね。
鐸木さんが以前、雑誌に「C型人間、D型人間」ということを書いておられましたが、普通に思い入れもなく道具としてコンピュータ、エディタを使っている人は、ほとんどD(何でもデフォルトのまま)型人間で、私やQXMLに参加されているようなC(カスタマイズ大好き)型じゃないみたいです。多分、たいていの職場でも同じだと思いますけど。

ですから、かなり長期間、秀丸を使っている人でもマクロなんて一つもなしで、字詰めを変えるのにいちいち設定のダイアログを出していたりします。そういう人は、QXでなくとも、他人のエディタなぞに興味を持ったりしないのかもしれませんね。

時々、見ていられなくて、秀丸のマクロをNiftyで見つけてきてキーアサインとかしてあげると喜ばれますけど(^^;

yook: 他の方にQXを勧める場合のネックになっているのはなんでしょうか?皆さん、QXのどの部分に躓かれるんでしょうか?
何でしょうね…。確かに設定の項目は多いし、arakenさんの説明は非常に的確でシャープですが、「噛んで含める」という感じではないことも影響しているかもしれません。

あるいは、インストール直後の画面の雰囲気でしょうか。あと、雑誌に紹介される時の画面キャプチャとか。地味でしょ(^^;

そう言えば、最近気づいたことですが、明らかにD型で、ショートカットの作り方も知らない、会社の「手取り足取りマニュアル」通りに設定したコンピュータを使っていた女性が、デスクトップのアイコンを全部ミッフィーに変えてきました。どこかで「マイコンピュータ」がかわいいミッフィーになっているのを見て、自分で調べてフリーウェアをインストールしてアイコンを変えたそうです。気に入ったものを追求する女性のパワーはすごいな…と感心しました。

ですから「アイコンかわいい路線」でのQXのPRもあながち無駄じゃないだろうと思います。
ちょっと質問の趣旨から外れていますね…(^^;

しかしD型の人をQXの魅力だけでC型に変えてしまうのは、(いくらQXが魅力的とは言え)難しいような気もします。C型になりそうな気配のある人に、丁寧にQXを説明できたら、逆に技術的に躓く点はそうないような気もします。

yook: これからQXを使い始めようとしているユーザーのために、アドバイスなどありましたらお願いします。
私のような素人がアドバイスすることなんて何もないですよ。
うーん、無理に考えると最初は色を変えてみるのがお勧めですかね。真っ黒か、真っ白かっていうデフォルトの色設定を変えてみるとぐっと雰囲気が変わって愛着も湧くってもんです(?)

それに最近は、初心者から上級者まで参考になるQX関連HPがたくさん出来てきましたから、そういうところを見ていくだけで、どんどん上達すると思いますよ。私の場合も「私のQX」のyookさんの画面キャプチャを見て、「いつかはこんな風に・・・p(^-^)q」と誓ったものです。

しかし、QXのもう一つの魅力はユーザーがいいことでしょうね。MLもNiftyの会議室も本当に雰囲気いいですし。このコミュニティの居心地のよさも、QXから離れられない理由の一つかもしれません。

yook: 今後QXに望みたい機能とか仕様がありましたら、お聞かせください。
今のところ、満足度大で思いつきません。(^^)d

yook: どうもありがとうございました。

yook の勝手なコメント:C型、D型という話は初めて聞きました。
二つのタイプが完全に固定されているわけでもないでしょうが、私の周りを見ても、確かにそんな気がしますね。となると、私みたいな一ユーザーがムキになってQXを普及しようと思っても、所詮メジャーなエディタにはならないのかも知れません。

だから araken さんも、わざとデフォルトの色設定なんかを地味にして、「C型じゃない人は、お呼びじゃないよ。この顔が気に入らないなら、もっと素直でかわいいエディタにすれば?」というメッセージを送っているのかも・・・。

そうすると、こんなコーナーをやっても結果はそれほど期待できないような気もしますが、とりあえず、QXワールドに迷い込んできた人たちに情報を提供する場所だけは、準備しておいても良いと思います。


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