QX のここがちょっと

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中西さんのプロフィール

職業:

博士課程の学生です。専門は一応「都市計画」ということになっています。

自己紹介:

理系とはいえ、専門に直接は関係ないパソコンに必要以上にこだわってしまっています。メールソフトやエディタについての意見を好き勝手に綴って自分の WEB ページに載せたところ、yook さんのお目に止まったようで。

とはいってもプログラム開発などはほとんど出来ず、ただのちょっとうるさいパソコンユーザーといったレベルです。

使用マシン:

ショップブランド AT 互換機(Windows NT 4.0)
IBM Aptiva775(Windows 95)
CASIO CASSIOPEIA FIVA (Windows 98)

主な使用ソフト:

Becky!
WZ EDITOR
MapInfo(GIS ソフト)
Excel
LaTeX
Corel Draw
など

WEB サイト:

ここに「私的エディタ考」があります。  私的電脳部屋

こちらのページの方が通りがいいかもしれません。  Becky!ユーザーの部屋



◆◆◆ 「私的エディタ考」の筆者、中西氏との対談 ◆◆◆

yook:
 本日は、「QXの導入に踏み切れないユーザー」の代表ということで(笑)、いろいろお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

 先日、ある方から中西さんのHPにある「私的エディタ考」の評判を聞きまして、読ませていただきました。謙虚な中にも、しっかりした理論を展開されており、大変好感の持てるエディタ論だと思いましたよ。

中西:
 どうもありがとうございます。作者さん方が一生懸命作っているエディタをよくもけなしているなあと、読み返すと自分でも少々苦笑してしまいますが・・。好意的に読んでいただけたようで嬉しいです。

 実は yook さんのページは以前より知っております。この間もじっくりインタビューを読ませていただきました。非常に熱いページですね。QXへの惚れ込みようが伝わってきます。「こんなページを作る方がうちのエディタ考をお読みになったら、QXへのそっけなさに憤慨されそうだあ」なんて思っていたところ、案の定 yook さんからメールが来てしまって・・・(笑)

yook:
 うわー、そうなんですか。でも、QXユーザー以外にも読んでくださる方がおられると言うのはうれしいですね。びっくりしました。おっしゃるとおりQXにはかなり惚れ込んでいます。


◆◆◆ QX の「見た目」がちょっと ◆◆◆

中西:
 実はそれらのページからQXの長所はよく伝わってきておりますので、幾度か本格的利用を試みたことはあったのですが、長期の利用にはなかなか踏み切れないでいるんですよ。

yook:
「私的エディタ考」の中では、「そのような機能面以前に、私には独特のデザインが好みにあわない」とおっしゃっていましたね。その点について詳しくご説明願えますか?

中西:
 しばらくは使い続けないと機能についても言及できないと思ったのでそっけない記述になっていいましたが、QXの場合、まずはデザインがどうも気になってしまうんです。

 いやもう、些細なことなんですけどね(苦笑)。ウインドウの 3D 表示が他に比べて平板に見えるとか。基本的に私は Windows に準拠したウインドウデザインが好みでして。一つのソフトだけ異質であると言うのが気になるんです。

yook:
 いや正直言って、私も最初は「これ、プログラマ専用のエディタかな?」と思ったくらいで、マニアックというか、ネクラっぽいというか、取っつきにくさを感じました。 QXユーザーの中にも、機能面では満足しつつも見かけにはやや不満を持っている人も多いのかもしれません。その一方で、あの渋さというか、「飾り気の無さ」にしびれている人もかなり多いんですよ。

 私はと言いますと、中西さんとは逆で、Becky! から Al-mail に乗り換えたくらいで、見かけ指向から安定性指向になりつつあります。Becky! はたまに落ちますが Al-mail は絶対落ちませんよね。安定感と信頼性があります。テキストエディタは仕事で長時間使うソフトですから、やっぱり安定性が一番大切な要素になってきます。これは単に「落ちない」という点だけではなく、画面やテキスト表示の全体的な安定性や、マクロ実行時の安定性も含めた、トータルな安心感とでも言いましょうか。

 作者の araken さんも、見かけの点でいろいろ言われているのは十分承知しているらしいのですが、敢えてあの外観に固執しているのは、安定性と何らかの関わりがあるのだと私はにらんでいるんですよ。素人考えですがね。

 それから見かけが 3D ではないという点ですが、これも書くことに集中する場合、特に長時間書く人の場合には平板な画面の方が疲れません。そんなわけで、最近はツールバーもすべて「フラット」にしてます。派手な 3D のエディタも試したことがありますが、個人的には好みではないですね。もちろん、長時間仕事で使わないアプリでは、わたしも未来的な 3D の方が好きです。

 長いエディタ行脚の末にQXにたどり着いた人が多いので、一旦使い始めると、他には見向きもしなくなっちゃいますね。それから、見かけは無愛想ですが、見えないところに作者の細かい気配りが潜んでいます。こうした奥ゆかしさは、最近の派手なエディタには見られないでしょう。いわゆる「噛めば噛むほど味がでる」というタイプですね。こんなエディタが一つくらいあっても良いのではないでしょうか。

中西:
 それはもちろんです。逆に、独特の見た目にしても、それに惚れたと言う方もいらっしゃるようですし。エディタも玉石含めてたくさんの製品がリリースされていますし、やはりどこかに「売り」がないとつまらないですよね。そういう意味では、QXの外見も「売り」の一つと言えるんでしょうね。

yook:
 見かけの問題も含めて、こうした「商売っけのなさ」も、私にとってはQXの魅力の一つになっています。つまり、作者の基本姿勢に非常に共感を覚えるんです。ユーザーの要望によって仕様や基本方針がコロコロ変わることがないので、とても安心した気分で使えます。要望を出しても、 araken さん自身が納得しない機能はサポートされません。その点を「無愛想」と感じるか、「堅実さ」と感じるかは、ユーザー次第ですね。

中西:
 これはいいですね。商売っ気の無さは、逆にいうとユーザーからの要望への反応の悪さにつながりますが、その点 araken さんは自分の考えを述べることはやっておられるようですし。

yook:
 私自身は、頼まれもしないのに、こんな宣伝活動みたいなことをやっていて言うのもおかしいのですが、QX がマイナーなエディタのままでいてくれるのも、それはそれで良いと思っているんですよ。

中西:
 しかし、ここまでエディタがたくさん出てくると、なにをもってメジャーあるいはマイナーというのでしょうね?
 私の基準ではQXは十分メジャーだと思っています。華々しくはないけど存在感はありますよ。だから時々は試してみたりするんです。

 まあ、その割には「私的エディタ考」ではQXに対してそっけなかったですが、書くのが面倒だっただけなので(笑)。今回のやりとりでQXにもなんとなく理解が深まったので、ちょっと文章を変えておくことにします。仕様や動作の安定性や作者さんの姿勢などはQXの他のエディタに対する利点と言えますしね。


◆◆◆ SDI のこと ◆◆◆

中西:
 ただ、デザインもさることながら、どうも私の場合、SDI、アウトライン機能という2点が揃っていないと使い続けられないようなんです。結局 WZ をメインに使ってしまっています。
 せめてQXにアウトラインエディット機能が付くと、しばらく試してみようかと思いそうなんですけどね。インタビューを見ていると、割と要望度は高そうでしたが・・・、

yook:
 アウトライン機能は、QXファンの中にも非常に要望の多い部分なのですが、作者の araken さんとしては、アウトラインに特化した別アプリを使用してくれるよう、希望しているような節もあります。ご本人がはっきり言われないので不明なんですが。

中西:
 それだと残念ですね。私にとってはとても重要度が高いんですが・・・。

yook:
 そう思っている人は、かなり多いみたいですね。しかし、アウトラインについては、すでにかなり論じつくされた気がしますので(笑)、今回は敢えて触れないことにしましょう。
 では次に、SDI がどの様な点で気に入っておられるのか、ご説明願えますか? 個人的には MDI の方が断然使いやすいと思うんですが・・・。

中西:
 そうですね、うーん、煎じ詰めれば「好み」で終わってしまうんですが・・・。あえていうなら、「他のアプリケーションと併用している時に、ウインドウの配置を調整しやすいし、切り替えやすいから」でしょうか、私にとっては。

具体的にご説明しますと:
 エディタで3、4個の文書を編集しつつ、表計算ソフトなども開いている時に、エディタが MDI だと

エディタ
   文書1
   文書2
   文書3
表計算
データベース

という構成になって、文書1から2へ対象を切り替える時と、文書1から表計算ソフトへ切り替える時では、操作が異なってしまいます。マウスにしてもキー操作にしても。
 それにMDI のエディタでマウスで切り替えやすいようにウィンドウを配置すると、自ずと MDI ウインドウ全体が広がって他のソフトのウインドウを表示しづらくなる。んー、つまり MDI の親ウィンドウが邪魔に感じるんですね。

 その点、SDI だと

エディタ:文書1
エディタ:文書2
エディタ:文書3
表計算
データベース

のように、文書間切り替えと他のアプリケーションへの切り替えが同レベルで行いやすい、ということなんです。キー操作でも Alt + Tab で他のソフトへも他の文書へも同様に切り替えられますし。

 要するに他のアプリケーションとの兼ね合い、なんでしょうね。Microsoft Office 2000 で WORD や EXCEL が疑似的にでも SDI ぽくなったのもありがたく感じています。

yook:
 なるほど、良く理解できました。実は今まで、なぜ SDI にこだわるユーザーがいるのかまったく見当がつかなかったんですよ。
 私の場合、仕事柄QXがすべての作業の基点になってしまいますので、MDI の方が好都合なんです。ファイルバーで簡単にファイルを切り替えられますし。もちろんキーボードからのファイル切り替えだって自由自在ですしね。それから、常駐リストの便利さになれてしまうと、ちょっと離れられません。これは SDI では無理ですからね。


◆◆◆ 常駐リスト・ファイラーについて ◆◆◆

中西:
 その点ですが、QXを少しだけ使ってみて、ユーザーさんがよく「便利だ」と書かれている「常駐リスト」について思ったことがあるんですよ。

 現在のところ、要するに常駐リストは「ファイル管理」ウインドウなわけですよね。シチュエーションに応じて履歴やフォルダ内一覧などを切り替えられるところは、確かに便利なのであろうと想像は付きます。

yook:
 デフォルトではそうです。しかし「ユーザー定義文字列一覧」としても使えますし、グレップ結果の表示とか、あるいは「ぷらねたりうむ」のマクロコーナーでJUNさんのところをご覧になっていただけると分かりますが、クリップボードや URL リスト、さらにはアプリやマクロの実行リストとしても使えます。

 それと、「バインダ」が使えるのは大きいでしょう。論文を書く場合や、プロジェクト管理に大いに威力を発揮します。個人的には、アウトライン機能はなくても、このバインダだけで十分プロジェクト管理ができてしまいます。

中西:
 そうなんですか。でも、私は「自分にとっても便利だろうな!」とは強くは感じないんですよ。もちろん使ってないから実感しないのだろうという見方はありますが。
 それだけでなく、私は外部のファイラーを使ってファイル管理をしていて、必要に応じてファイラーを呼び出せればそれで事足りているわけなんです。ことファイル管理という面からは、やはり専用ソフトの方が高機能でしょうし。
 また、私が扱っているのが決してテキストファイルのみではないので、それらも同様にファイラーから扱えるというメリットがあります。

yook:
 そうですね。QXユーザーの中には、KF、あふ、春M、Pyxis などのファイラーも併用している人が多いですね。主としてキーボード派の人たち、DOS 出身の人たちみたいです。私も一時使ってみましたが、ここまでの機能は必要ないもので・・・。

中西:
 機能面のことはさておき、常駐リストもファイルバーも、QX内に存在するものの、エディタ機能以外の機構ですよね。「QXという閉じた世界内でのみ使える機能」ということだと思うんです。

 つまりは、MDI と SDI どちらを好むかという話とも通じますが、

 私がデスクトップという作業環境全体を同じような使い勝手に置いておきたいという好みを持っている。かつ、仕事の対象がテキストファイルだけではないので、他のアプリケーションとの併用を考えなくてはいけない。

 QXはどちらかというと(悪い意味ではなく)閉じたウインドウの中でのテキストエディティングに濃い機能性を持っているソフトである。逆にいうとデスクトップ全体から見た時に異質性がある。

ということなのでしょうね。

 逆にテキストが対象の大部分を占める人にとっては、その閉じた機能性が快適さにもつながっているのでしょう。それは理解できます。

yook:
 そうなんです。QXユーザーのほとんどは、「テキスト主義」の信奉者ですね。4 年前に出版された『鉛筆代わりのパソコン術』も、「テキストでできることはテキストでやろう」という意図の下に出版されて、かなりの評価を受けたらしいです。

 個人的には、わたしはテキスト 100%人間です。HTML はテキストファイルなのでやりますが、ワープロなどのバイナリファイルでの納品を希望する翻訳会社とは基本的には取り引きしません。Word も持ってはいますが、ビューアとしての使用だけです。

 ユーザーの中には、テキスト作業がメインでないのに、「エディタはQX」という人もかなりおられますよ。でも、中西さんの言われるように、デスクトップ上の他のアプリとインターフェースを統一したいというユーザーには、ちょっと自己主張の強すぎるアプリかも知れませんね、QXは。

 私の場合は極端で、可能な限り何でもQXの内部で済ませようと躍起になっているところがあるみたいです(笑)。

 何しろマクロがすごいので、常駐リストで圧縮ファイル(LZH、ZIP、CAB など)を選択して一発で解凍したり、編集中のファイルをすべて一発で圧縮なんてこともできるので、私のような仕事をしている者には便利なんですよね。テキストファイルだけを扱う限りにおいては、ファイラーの必要性はまったく感じません。
 120 個の HTML ファイルをQXで同時に開いて修正し、一発で圧縮したこともあるんですよ。ちょっとした快感でしたよ。これは MDI ならではの離れ業でしょう。

中西:
 ・・・なにも、そこまでQXでやらなくても(笑)。

 私だったら必要なファイルを必要時にだけ開いて、圧縮はファイラーから行います。極力役割分担をさせるという考え方です。
 が、別にそういう使い方を意識しているわけではなくて、あまりファイルを開き過ぎない、アプリケーションに負荷をかけ過ぎないというのが身に付いてしまっているんですね。メモリが少ない MS-DOS のころから、安定性に欠ける Windows3.1 の時代を経てパソコンを使ってきていますから。

 なので私の場合、アプリケーションが不安定で困るといった経験が少ないんです。「QXは非常に安定している」と聞いても、「いや、別のエディタでも不安定で困ったことないけどな」なんて思ったりして。

 その代わり、あまり常駐ソフトを増やさないとか、そもそもメインのマシンは NT4 で使っているとか、環境全体の安定性はわりと気を使っています。


◆◆◆ カスタマイズについて ◆◆◆

中西:
 それにエディタを複数使っていても、特に不便を感じていないんです。というか感じないように工夫しているわけです。
 たとえば、私は複数のソフトでテキスト編集を行っていますが、基本的なキー操作については、各ソフトをキーカスタマイズである程度そろえています。そのキーカスタマイズも、私自身が Windows の操作性に慣れるようにしておいて、カスタマイズは最小限で済むようにしています。つまり自分をソフトに合わせているんですね。

 これには理由があって、常に一台の決まったパソコンを使うならともかく、自分が普段使っているだけで、職場・自宅デスクトップ・持ち歩き用ミニノートの3台があります。これらの環境を揃えるだけでもかなり面倒です。
 また他人のパソコンを使う機会もありますし、必要上ワープロソフトも使わないわけにはいきません。エディタのみで独特の操作性を作り上げてしまうと、そういった時に却って困惑してしまうんですよ(笑)。

yook:
 そのときは、私なら、また自分に合わせてアプリをカスタマイズする方を選びますね。一旦カスタマイズしてしまうと、ストレスが段違いに減ります。まあ、これもそのアプリを使っている時間にもよりますね。私は一日平均 10 時間以上QXを使ってますから。

中西:
 このあたりは、やはり必要な作業の違いということでしょうね。私の場合、複数の環境やソフトを渡り歩くためには、あまり独自の環境を構築することは得策ではないと考えているんです。
 そもそも数年後に Windows 環境で仕事をしているかすらわからないですから。そのためには、その時々の標準的環境に自分を合わせるくらいの柔軟性があった方がいいと思っているわけなんですよ。

 となると、いくらカスタマイズ自在のQXと言っても、カスタマイズしなくてはいけない時点でちょっと面倒くさい。また独自の世界にはまり込むことに躊躇する心が STOP をかけるんですよね(笑)。

yook:
 この恐怖心は、理解できますよ。でも、カスタマイズにはまったところで、抜けられなくなるものでもありませんよね。私も、中西さんみたいに、我慢できるタイプだったらいいのになぁ、とたまに思いますよ。こういうのを「柔軟性がない」というのかな。「わがまま」なのかも知れません。

中西:
 うーん、恐怖心とか我慢とかとは違うんですが・・。我慢が出来るくらいだったらエディタを放浪しませんし、QXの独特さもそれほど気にならないでしょうね(笑)。
 前にも書いたように、パソコンの総合インターフェースとしてデスクトップの機能性についてはかなり気を使っていますよ。おそらく yook さんがQXにかけるカスタマイズの情熱は、私の場合はデスクトップ全体に向けられているということでしょうね。

 ただ、どうしても他のパソコンを使う機会がけっこうあるので、ベースには Windows の標準的作法を置いた方がいい。見た目も含めて。それに合わせた方が普段から楽ですし、無理はないんですよ。「他のパソコンじゃ仕事ができない!」というのではそれこそ差し障りがありますし。

yook:
 でもQXでは、ユーザーが行ったキー定義や設定をすべて INI ファイルに書き出して保存し、それを他のマシンで読み込むことができるんですよ。これだと、環境の移行も簡単です。

 いつか秀丸ユーザーがこうした初期設定ファイルでの起動に関する要望を出しているのを見たことがあります。たぶんまだ実装されていないでしょう。

 起動オプションで「共通設定」、「書式設定」、および「キー定義設定」の 3 つを指定することができます。また、このファイルさえ保存しておけば、ハードディスクがクラッシュしても元の環境に戻せますし、他人のパソコンでも簡単に自分の環境が再現できます。もちろん、デフォルトではレジストリを使用するようになっていますが。

 わたしは、縦書き用のQXも、翻訳用のQXも、メール専用のQX(Al-mail の外部エディタ)も、すべて別の INI ファイルで起動しています。これらは別アプリのように同時起動が可能です。この点についてはどう評価されますか?

中西:
 QXをそれなりに研究する中でその機能も知りましたが、その時はメリットがわかりにくかったです(苦笑)。今、うかがって「なるほど」とは思いますが、やはり私は使わないでしょうね。私の場合はレジストリを書き出して他のパソコンに持っていくことで済ましているんですよ。持っていったレジストリファイルをダブルクリックすれば書き込まれますし。

 ここでも大事なのは、他のたいていのソフトでもその方法でいけるということなんです。場合によってはレジストリの切り替えすらバッチファイルでやったりします。ソフト本体の機能に頼らず、OS の機能を利用すると言うのが基本姿勢・・とは言い過ぎかな(笑)。

 そういうソフトの設定書き出しで対処出来る部分よりも、パソコンごとの画面解像度の違いなどの方が、環境全体を揃えるのに障害になってきますね。

 ちなみにいうと WZ も各種定義ファイルがテキストとして編集できて、メニュー構成や右クリックメニューは自在に変更できます。QXを見た範囲では出来ることにそう大きく違いはないように思います。ツールバーに文字を表示できないというくらいかな、柔軟度で負けるのは。

 しかしカスタマイズの柔軟性があっても、やはり初期状態って大事だと思うんです。私にしてみればカスタマイズを「強いられる」方がよほど我慢が必要ですね。極力「吊るし」の状態で使いやすくあって欲しいです。

 誤解がないように付け加えると、私はカスタマイズ好きですよ。でも「付加機能」のためのカスタマイズはいいけど、基本的な使い勝手や見た目を合わせる為のカスタマイズなんてのはちょっと(^^;。そのままで違和感無く使えて、かつ、やる気になれば奥深い、というのがいいですね。

 もっとも、じゃあ他のソフトは全くデフォルトで使うのかというとそうではなくて、どうしても譲れない部分、気になる部分はいくつかあるんですよ。些細なところも含めて。
 今使っている WZ だと、たとえばウィンドウ位置を記憶していないファイルを開いた時は、その位置が Windows に従ってしまう。画面が広い環境で使っていると左により過ぎて気に入らないんですね。あるいはミニノートでは液晶が 800×600 ですが、自宅ではモニタにつないで 1024×768 で使うこともある。そこで画面解像度を取得して、それに合わせてウィンドウの出現位置やサイズをコントロールするマクロを作りました。

 また、いくつかのキーには自分のなじんだ機能を割り当てたい。その機能がないエディタの場合には、やはりマクロでそれを作って、となります。

 そのように、どうしても気になる部分はカスタマイズできて欲しいので、結局のところカスタマイズの自由度は高い方がいいですね。プログラマブルなマクロがないエディタも多いですが、やはり私はそれがないとだめですね。
 ある意味ソフトに歩み寄ってこいと言っているわけなんですよ。で、スタート位置(デフォルト状態)にも注文が付くと(笑)。なんと勝手なユーザーであるというか。

 QXは・・カスタマイズ可能性が高いのはわかりますが、私の望む部分、たとえば画面の独特さはいくらカスタマイズしたところで基本的な部分が Windows とは異質なままですし、スタート位置にも私の好みという面からは難が感じられるんですよね。

yook:
 ソフト自体をカスタマイズするより、環境をカスタマイズするという考え方ですね。なるほど、それはよく分かります。その方がパソコンユーザーとしては普通なんでしょうか。

中西:
 うーん、私自身は自分を普通じゃないと思いますよ。普通の、特にパソコンにこだわりがないユーザーと言うのはデフォルトの状態に「ほぼ全く」疑問を持たないのでしょうが、私は「疑問を持ちたくない」のです。自分の感覚に合わせようとする欲求は、QXユーザーの皆さんとさほど変わりはないと思います。
 ただ、私は Windows の標準的作法を基準においている、ということですね。自分独自の基準ではなく、Windows 標準作法の延長としての使い勝手の良さを追求しているんです。

 その場合にQXの付加機能は、残念ながらあまりメリットにならないんですね。QX以外のソフトに適用できないから使わない。もったいないことに。
 なのに、些細な部分ばかりが気になってしまう。「なんでフォントサイズがドット表記のままなの!?」とか。

yook:
 この点でも、だいぶ違いがありますね。私は、(たぶん)ご存じだと思いますが、元々Mac ユーザーでして、Windows は苦手です。ついでに、Microsoft のソフト全般に何となく性が合わなくて、よほどのことがないと使いません。まあ、QXに惚れ込んだのが、そもそも間違いだったのかも知れませんね。

 その点では、DOS から入ってきた、大多数のQXユーザーともかなり違いまして、Windows に関しては万年初心者のようなものです。スタートアップに全画面表示のQXが入れてありまして、デスクトップはほとんど見る機会がないですね。ですから、デフォルトのまんまです。

中西:
 なるほど。QX専用機ですね(笑)。自分の環境に特化した割り切りというのも、確かにひとつの方向だと思います。

 UNIX 上で著名なエディタ「EMACS」は、その拡張性故に「EMACS はエディタではなく環境だ」などと言われていますよね。なにせメーラーやブラウザにもなりますし(もちろんテキストベースですが)、愛好者は徹底して EMACS 内で処理を行うそうですから。QXの愛好者さん達も、それに似たような思いをお持ちなのではないですか?「QXはエディタではなく環境だ」と。

 このあたり、単に好みの問題だけでなく、「テキスト以外のデータを扱う必要があるか」ということも大いに関係あるのではないでしょうか。私もテキストだけを相手にするならもっとエディタに特化した環境を作っていたと思います。そうするとQXを使った時に常駐リストなどのメリットをもっと体感できるのかも。
 ただ、スプレッドシートやデータベース、GIS などの、テキストではないデータの処理も、仕事の上で相当必要なのですよね。やはりそちらとの兼ね合いを考慮してしまいます。

yook:
 よく分かりました。ではこの辺で全体を整理すると、
・QXの優れている点は認めるものの、独特さが気になる。
・QXのせっかくの機能を、中西さんの使い方からでは活かせない。つまり、中西さんの使い方では必要ない部分でQXは非常に充実している。
 と言ったところでしょうか。

 中西さんは他のソフトとの併用を念頭に置いておられるので、QXだけが浮き上がってしまうのがちょっと困る。一方で、私のようにテキスト作業主体のユーザー、QXを中心的に使っているようなユーザーにとっては、中西さんにとってどちらかと言えば不必要な部分がすべて利点となっていると。
 これで「一件落着」にしておきましょう(笑)。

 「私的エディタ考」の、QXに関する記述も、今見たらちょっと変更してくださったんですね。まあ、元々関心を持ってQXを眺めておられたと言うことで、私が無理矢理変えさせたのではないと思いますが(笑い)。また「続編」も書かれるそうですので、これからも「私的電脳部屋」には注目して行きます。サブのマシンでは、また Becky! を使い始めましたので。

 この対談のおかげで、私のエディタに対する理解もかなり深まったような気がします。
 本日はどうもありがとうございました。



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